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ケイロウ

ヤスッ222

ヤスッ222

2017/9/18 13:20

荒涼とした砂漠が広がっていた。地平線の向こうから一陣の熱風が吹きつける。灰色の大地に容赦なく照りつける太陽の光。
僕はお父さんの手をギュと握りしめた。
「いいか。坊主。奴ら、動きは鈍いが警戒心が強い。姿勢を低くゆっくりと進め」
こんもりと盛り上がったお父さんの腕から緊張が伝わってきた。
近いのかも……

お腹空いたなあ……僕は心の中でつぶやいた。
お父さんとお母さんが悲しむのでとても口に出しては言えないが。
もし、今日、獲物が取れたら……お母さんにステーキを作ってもらおう。僕は想像しただけで胸がドキドキとした。少し焦げた肉の匂い、かぶりつくと滴る肉汁。お父さんとお母さんの平和な笑顔。胸が踊った。
よーし。なんとしても獲物を持ち帰るぞ。

お父さんがそっと合図を寄こした。何か見つけたようだ。それはこんもりとした低い丘の上。砂漠と違い複雑な地形をしている、有名な狩場だった。狩っても狩ってもその個体数は変わらない。旺盛な繁殖力がある。とお父さんが言っていた。
問題は警戒心だ。穴の中に逃げ込まれると厄介だ。

丘の上にいたのは僕より身体の大きい雄だった。僕は音を立てないようそっと背後に回り込む位置へと移動する。風が細かな砂を運び僕の顔へ叩きつける。ペッペッ……。口の中に入った。

お父さんが真剣な面持ちで指を口に当てる。イケネ。僕はさらに身を低くしてジリジリと進んだ。奴をはさみ打ちにしたところでお父さんの合図を待つ。僕は陽動作戦で奴を追い立てる役目だ。奴が反対方向へ逃げたところで、弓の名手お父さんが仕止める、という寸法だ。

砂に身を伏せた手に何かがに触れた。引っ張り出す。紙っぺらだ。こんな紙っぺらがよく落ちている。様々な記号が配列され行儀よく並んでいるが、僕には読むことができない。

「           危険地帯
放射能に汚染されています。ただちに退去して下さい。避難場所は以下の地図に示されています。  」

僕は丸めて投げ捨てた。お父さんが合図を寄こしたのだ。
「うおおぉぉーーー!」僕は有らん限りの声を振り絞り声を上げると、その場でピョンピョンと飛び上がった。自分を大きく見せるためだ。
奴はビクッとして僕を見つめる。キョロキョロと辺りを見回している。そうだ。向こう側へ逃げろ。
ところが、奴はこちらへ突進してしてきた。意外に早い動き。え?まさか……。ウソでしょ。
慌てて回れ右をして逃げ出す。たまに人を襲う個体がいるから気を付けろとお父さんに言われていた。襲われるのはいつも子供だ。
ハッハッハッハッ……奴の息づかいが聞こえる。早いっ。僕は一生懸命駆けた。砂に足を取られ上手く走れない。ついにドッと倒れこんでしまった。奴が覆い被さってくる。白い犬歯がチラっと見えた。必死で両足を突き出した。
やられる……お構いなしに僕の身体に体重をあずけてくる。固く目をつぶった。

1秒、2秒、3秒、……

何も起こらない。よく見たら、奴の身体は痙攣を起こしている。矢が背中から胸へと深々と刺さっている。遠くの丘の上にお父さんの姿が見えた。
よかった〜!

「ゴホゴホゴホゴホゴホゴホ……フガフガフガゴホゴホフガフガキタキタノゴホゴホフガゴホミサイル……」
奴は断末魔の叫びを上げている。
「バチバチバチゴホゴホアタリナ……ケイロウケイロゴホゴホ…」
ヤッター今夜はステーキだ!奴をひっくり返した。
喉元に短刀を当てる。
「ゴホゴホゴホゴホ……バチアタリナ……」
素早く短刀を動かした。奴の血がピューと噴き出し僕の頬を濡らした。
「ゴホゴホゴホフガ……ケイロウノヒ……」

「お父さん!獲ったどー!」
ゆっくりと丘を下りるお父さんが笑顔で手を挙げる。夕陽の朱色がお父さんの腕の鱗に当たりキラリと光った。

コメント (2件)

  • ヤスッ222

    [ 2 ]

    ヤスッ222

    2017/9/21 19:25

    正解!放射能で世代間の見た目が変わってしまって狩られる立ち場になってしまう老後の不安を表現してみました。

  • [ 1 ]

    ヒロピィ

    2017/9/21 14:54


    キタのミサイルで放射能汚染された
    未来の話なんですね

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