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世界に1つだけの花

ヤスッ222

ヤスッ222

2017/1/3 02:15

皆さんは子供の頃こんな遊びをした事はなかったでしょうか?

友達の背後にそっと忍び寄り、肩をトントンと叩きその友達が振り返るタイミングで、その方向とは逆向きに、素早く身を翻し、友達の背後に回る。

例えば、友達の左肩をトントンと叩いたなら、その友達はおそらく左側から振り返りであろうから、その右側に身を隠す。次に、友達が右側から振り返ろうと試みるならば、素早く左側に動き、再び友達の背後に回る。すると、その友達は誰が肩を叩いたのか分からず、キョロキョロとあたりを見回すことになり、その都度、上手く流れを読み、友達の背後へ背後へと身を隠す。友達がパニックになるくらい、バレずに、見つからないようこれを何度も成功させる。
そんな遊びをした事はなかったでしょうか?僕はこの遊びが天才的に上手かったんです。連続10回は軽くクリア。相手の腰の動きに注視することがコツで……
え?どうでもいい?
いやいや、それがそうでもないんだなあ。

ところで、話は変わるようだが、後でつながっていきます。
「世界に1つだけの花」って歌ありますよね。この歌詞世界を綺麗事だなと思っている人は結構いると思うんです。現実にはあり得ないよ、ってね。けれど、それは違う。と僕は言いたい。
これは、要するに多様な価値を許容する社会なのかどうかということが問題であって、個人の力量に根差すものではないと思うんです。多様な立場や価値を内包できる社会であるのか、ないのかということが問われていて、それは社会の健全さを示す尺度でもあると思う。

例えば、学業で1番をとること、といった特定の価値観で世の中が動いているとしたら、それは一部の人のみが得をする社会で、大多数の人が花を咲かすことなく朽ち果ててしまう社会でもある、と思うんです。それは健全な社会ではない。「世界に1つだけの花」社会ではない。

人には特性特技と言うものがあって、それが様々組み合わさって人の特徴を生み出している。その特技特性はどんなくだらないことであっても構わない。金銭的な価値を伴わなくたって良い。例えば、指の第一関節を人としてありえない位置まで曲げられるとか、早口言葉をかまずに言えるとか、猫にトコトン好かれるとか、一見役に立ちそうもないように感じる事柄でも、成熟した社会であるなら、人々が持つ特徴というお花畑を守り育てていく義務がある。何故なら、多様性を許容出来る社会は普遍性のある社会となり得るからだ。


ええっと……なんでこんな小難しいことを言うかというと、つまり、僕は僕の世界に1つだけの花を咲かせたいのだ。そしてこの特技を認めて欲しい。
つまり、先に挙げた僕の天才的な能力、人の視線を逃れながら動き回れるこの技を磨き、役立てたい。
できれば世の中のために役立てたい。これはホントだ。しかし……残念ながら……
この技はどうも世の中のために役立ちそうもない。どちらかと言うと、個人的なことのために役に立つ。
そう。今までの長い前振りの目的がお分かり頂けただろうか?


僕は以前、別れた彼女に取り憑いたことがある。僕の特技を使ってだ。
ハッキリ言おう。それは腹いせのためだった。最初はすぐにバレると思った。バレたらバレたで構わないと思っていた。ところが全くバレない。
僕の技術が磨かれたのか、あるいは元カノが鈍すぎるのか。2日経ち3日経ち、元カノは何らかの気配に気がついてはいるようだが、僕の姿をその目にとらえることができないようだった。右と思えば左に動き、左と思えば右に動く。僕は自由自在だった。まるで忍者になったような気分だ。
ふふふ……
元カノの怯える姿が可愛かった。僕を幽霊か何かだと勘違いしているようだ。
もちろん24時間張り付いているわけではない。外出して人に会うときなどお手上げだ。さすがに何人もの目を誤魔化すことなどできない。それから、同じ理由で鏡のある部屋なども近づかないようにしていた。
こうして僕は1ヵ月の間彼女の部屋に居座り続けた。彼女が次第に焦燥し、壊れていくのを僕は感じていた。もう十分とも思ったが、最後までやってやろうと思う気持ちも強かった。
正直に言うと、部屋に彼氏を連れてきたのにも腹が立ったからだ。
僕は開き直った。2人の目からはさすがに逃れられないだろう。万事休す、見つかることを覚悟した。ところが驚いたことに、バレなかった。僕の技術はそこまで磨かれていたようだ。

やがて、元カノは仕事を辞め東北の実家に帰り、しばらくして、僕が目を離した隙に首をつった。
今、思えばかわいそうなことをしたものだ。そんなに怖かったのだろうか。半分冗談でやっていたのに……僕には話し合う準備もできていた……話せばわかる人間なのに……残念でならない。

まぁ、しかし、それはもう済んだことだ。とても残念で悲しい出来事だったが、くよくよしても仕方がない。明るく前向きに僕はこの能力を磨きながら生きていこう。世界に1つだけの花を咲かせながら……





おっと、忘れるところだった。僕には気に入らない奴がもう一人いる。そいつの住所も突き止めた。ネットをチョイチョイと操作すれば簡単にわかる。
え?誰かって?

ふふふ……

よお、前田。元気か?


よお、前田。よお前田。よおまえだ。よおまえだ、よおまえだよおまえだよおまえだよおまえだよおまえだよおまえだよおまえだよおまえだ……




コメント (2件)

  • 真砂鈴[まさりん]

    [ 2 ]

    真砂鈴[まさりん]

    2018/2/2 11:43

    語り手は既に亡くなっている

  • [ 1 ]

    くまっぺ

    2018/1/11 18:50

    語り手は幽霊じゃないと言ってるけど、バレないとか彼女の部屋に居座りとか、やはり幽霊のような気がします。

    で、最後の、
    …おまえだよ…と読めますね(;°Д°)

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