Amebaグルっぽ

ストーカー

ヤスッ222

ヤスッ222

2017/9/23 14:53

「ほら、あれ……いるでしょう?」
彩音がヒソヒソ声になり肘で俺をつついた。
「うーん……」振り返った俺は微妙な声を出す。確かに彩音の言う通りカラフルなTシャツ、赤いパンツ、黒いトンガリ帽子をかぶった奇妙な中年親父がいる。でも、まじめくさって新聞を読むその顔は判別できないし、本当に彩音をつけ回すストーカー野郎との確証がない。
微妙な声になったのはそのためだが、彩音の尖った肘が俺の脇腹に刺さり意外と痛かったというのもある。
「顔確認した?」俺は脇腹を押さえながら尋ねた。
「うん。さっきちらっと見えた。間違いないと思う」
彩音の訴えによると、1ヵ月ほど前から彩音をつけ回す派手な服着た変なストーカー野郎がいる、何とかしてほしい、と言うことだった。
「ほら!今、顔を上げた!見て」
「うっ、うーん……」
彩音の肘が再び俺の脇腹を襲った。興奮しているせいか、さっきより勢いがあり、かなり痛い。
「わかったわかった。もし、後をつけてくるようだったら、俺が言ってやる」
俺は格闘技を趣味としていて、体格も人並み以上だ。あんなヒョロッとした中年オヤジ、1発で沈められる自信があった。

その後、映画、食事、とお決まりのデートコースをめぐり、彩音のマンションへと、ムフフな大人の時間へと突入する帰り道、再び彩音の肘打ち攻撃が俺の脇腹を襲った。

本当だ。間違いない。あの目立つとんがり帽子……
俺は大人の時間を邪魔された怒りと脇腹の痛みへの怒りをエネルギーに、とんがり帽子へ突進した。
何も言わずに向かってくる俺を見て、とんがり帽子はびっくりしたのだろう。1メートル位その場で飛び上がったように見えた。
それから回れ右をして、脱兎の如く逃げ出す。その早いこと早いこと……
体力に自信のある俺だったが、3分追いかけて、捕まえるのは無理だと悟った。長距離走はそんなに得意でじゃない。
しかし、逃げ出したと言う事は、ストーカーで間違いないだろう。
今度見つけた時はもう少し慎重に対処しなければならない。俺は肩を上下に激しく動かしながら彩音の元へとトボトボと引き返した。
「ごめん。捕まえられなかったよ。超、脚の速い奴でさ……」
「警察に連絡したほうがいいんじゃないかしら……」彩音が不安そうにつぶやく。
「いや、もうちょっと待ってくれ。警察に連絡するにしても、奴の正体を突き止めたほうがいいだろう」
俺は彩音の肩を抱きながらマンションへと誘った。

「ほら!見て!あれ……」彩音が3回目の小さな叫びを上げた。反射的に脇腹を抑えたが、俺はベッドの上でまどろんでおり、彩音は窓際に立っていた。密かに胸を撫で下ろす。
階下を見下ろす彩音の真剣な横顔に薄い明かりが当たっている。
時計を見れば午前5時。え?今までずっといたの?まさか……
その執念深さただごとではない。
俺は慌てて服を着た。
「確かこのマンション、裏口があったよな……」俺は口に人差し指をあてながらそっと玄関へ向かった。
「今度こそ捕まえるから、ここにいてくれ」
「うん。分かった。気をつけて……あっ!移動してるよ。帰るみたい……」
俺は玄関に向かってダッシュすると、階段を駆け下りた。表に出たところで通りをキョロキョロと見回す。
間一髪セーフだった。角を曲がろうとする奴の後ろ姿を発見することができた。
そっと見つからないように、奴の後をつける。どうやら駅の方へ向かうようだ。始発がそろそろ出る頃だろう。カラスが「カー」と一声鋭く鳴いた。

奴は1度も振り返ることなく、黙々と進んでいく。後をつけられているとは全く考えていないようだ。尾行は簡単だった。
奴が一軒家の玄関に吸い込まれる瞬間、俺はダッシュして足をこじ入れた。
奴の目が大きく見開かれる。俺の片頬が緩んだ。
捕まえてみたら後は簡単だった。終始うつむきぼそぼそと喋るその姿は全く無害に見える。
「いいか。今度、彩音をつけ回すようなことがあったら、タダで済まないことは分かるな。警察にも通報する」俺はお茶をずっとすすった。起きてすぐに飛び出してきたので喉がカラカラだった。
「はい。わかりました。決して彩音さんをつけ回したりいたしません……」
なかなか素直だ。
「あんたの名前も、住所も、仕事先も、あんたの家族の連絡先も、全部押さえたからな」
俺は腕を組みながら念を押した。俺の前腕の筋肉が盛り上がっているはずだ。
奴はそれをチラチラ見ながら、頭を下げる。
「わかりました。本当に申し訳ありませんでした」
よし。もういいだろう。反省もしているようだ。そろそろ退室するか。

俺は腰を上げようとして、尻餅をついた。椅子がガタガタっと凄い音を立てて後に吹っ飛んだ。俺は床に転がってしまった。あれ?足がもつれている。起き上がれないぞ。

奴が顔を上げた。そういえば奴の顔を初めてマジマジと見る。細面の綺麗な顔立ちをしている。目が興奮でキラキラと輝いていた。

コメント (2件)

  • ヤスッ222

    [ 2 ]

    ヤスッ222

    2017/9/23 18:29

    > [ 1 ] 真砂鈴[まさりん]さん
    その通りです。正解!

  • [ 1 ]

    真砂鈴[まさりん]

    2017/9/23 17:49

    彩音のストーカーではなく 実は彩音の彼?のストーカーだった。とかかな?

    で、彼が飲んでるお茶に 身体の自由を奪う薬を混ぜて 身体が動かなくなった。

他のスレッドも見る

Amebaオススメ情報

アメーバID登録

Amebaトピックス

このグルっぽの掲示板を探す

メンバーが参加中のグルっぽNEW!

「 意味が分かると怖い話」に参加している人は、こんなグルっぽにも参加しています。

もっと見る

ケータイでもスマホでもグルっぽの掲示板をチェック!QRコードを読んでブックマークしてね♪

http://ucsmgroup.ameba.jp/ucs/index/?guid=ON

http://ucsgroup.ameba.jp/ucs/index/

このグルっぽを通報する